今日は、前回ご紹介できなかった5つ目のおすすめストレス対策についてご紹介いたします。
前回ご紹介したストレス解消法については以下からご参照ください。
今回ご紹介するのはこれまでの4つ同様、APA(アメリカ心理学会)で推奨している『マインドフルネス』というメソッドです。
マインドフルネスは、今ビジネスの世界で大きな注目を集めている心理療法のひとつで、ヤフー、グーグルをはじめインテル、フォードなどの名だたる企業が導入しているだけでなく、学校や医療機関、ストレスから犯罪を犯した受刑者たちがいる刑務所でも採用されています。
日本でも最近、少女少年院にマインドフルネスが採用された事例がメディアで取り上げられました。
世界中で認知、導入され始めている背景として、やはり大学などの研究機関においてマインドフルネスの有効性の科学的根拠がわかってきているからです。
マインドフルネスも上の4つ同様、手軽に始められるストレス対策ですので、慢性的なストレスにお悩みの方はぜひご一読ください。
Contents
今、注目のストレスコントロール法 マインドフルネスとは?
元はマインドフルネス・ストレス低減法と呼ばれるこのプログラムは、マサチューセッツ大学医学部が『瞑想』の医学的効果を研究する中から生まれたメソッドです。
マインドフルネスは瞑想にまつわる宗教性を一切排除してストレスを排除するための全く新しい心理療法として開発され、集中力をアップ、仕事の効率を上げることができると高く評価されています。
簡単なマインドフルネスの手順は、以下の通りです。
- まずはじめに、体の力を抜き背筋を伸ばして座ります。
- 体と呼吸に意識を向け、その様子を感じるようにします。
- やがて様々な雑念が浮かんできますが、それは考えないようにします。
- 再び今の瞬間の体や呼吸の感覚に意識を戻します。
※詳細な手順は後ほど解説します。
マインドフルネスは毎日10分程度行うことから始めるのが一般的で通常8週間のプログラムですが、プログラムを終えると体の不調は約35%、心の不調は約40%軽減されることが研究から分かっています。
なぜ、マインドフルネスでストレスを減らせるのか?
マインドフルネスは、『今』にフォーカスしたメソッドです。
これは、マインドワンダリングと大きく関係していることを意味しています。
例えば、上司に叱られた過去を思い出してくよくよしたり、また明日も叱られるかもと想像したりすることでそのたびにストレスが脳の中で再生産され、ストレスホルモンのコルチゾールが過剰に分泌されます。
マインドフルネスでは、『今』に注意を向けることでこの連鎖を止めます。
記憶や想像でストレスが増幅する状態が止まり、コルチゾールの分泌を抑えるという訳です。
マインドフルネスの効果の科学的証明
感情にかかわる海馬はストレスにより萎縮するとうつ病などに繋がる可能性が指摘されていましたが、マインドフルネスを行った人は海馬の一部で増加が確認されたのです。
つまり、ストレスに蝕まれ萎縮した海馬が回復する可能性が見えてきたのです。

マインドフルネスが蝕まれた海馬を回復する
また、ストレスの不安や恐怖に反応する扁桃体の一部も5%減少することも分かり、これはストレスへの過敏な反応が抑えられると考えられます。
ストレスによって蝕まれた脳も、マインドフルネスによって脳の構造まで正常な状態に戻す可能性があることを最新の科学は明らかにしています。

ストレスホルモンの分泌指令を出す扁桃体
さらに、カーネギーメロン大学で行われた調査では、マインドフルネスによる脳のある部分に新たな活動があることがわかりました。
それは前頭葉の左側一部にあるDLPFCという部分です。
DLPFCは、思考や認知など知的活動のまとめ役をする重要な部分で大脳全体の司令塔と呼ばれており、主な機能は2つ。
- 判断、意欲、興味をつかさどる
- 扁桃体のバランスを整えて制御する
今回のストレス特集において最大のヒール(悪役)として注目された扁桃体は、副腎に対してストレスホルモンを分泌するよう指令を出したり自律神経を興奮させてしまう、いわば『悪の司令塔』です。
DLPFCが活性化することで、扁桃体の活動を制御し、心疾患、脳疾患だけでなく、不安症、うつ病などの心の病に対して大きな効果が期待されています。
つまり、DLPFCが扁桃体の活動を制御することこそが、マインドフルネスの最大のメリットと言えます。
簡単に実践!マインドフルネスの効果的なやり方、方法
(1)背筋を伸ばして座り、目を閉じる
脚を組んでも、正座でも、椅子に座っても良いです。
「背筋が伸びてその他の体の力は抜けている」楽な姿勢を見つけて下さい。
(2)呼吸をあるがままに感じる
呼吸をコントロールしないで、身体がそうしたいようにさせます。
そして呼吸に伴ってお腹や胸がふくらんだり縮んだりする感覚に注意を向け、その感覚の変化を気づきが追いかけていくようにします。
例えば、お腹や胸に感じる感覚が変化する様子を、心の中で、「ふくらみ、ふくらみ、縮み、縮み」などと実況すると感じやすくなります。
(3)わいてくる雑念や感情にとらわれない
マインドフルネス自体は単純な作業なので、「仕事のメールしなくちゃ」「ゴミ捨て忘れちゃった」など雑念が浮かんできます。
そうしたら「雑念、雑念」と心の中でつぶやき、考えを切り上げ、「戻ります」と唱えて、呼吸に注意を戻します。
「あいつには負けたくない」など考えてしまっている場合には、感情が動き始めています。
「怒り、怒り」などと心の中でつぶやき、「戻ります」と唱えて、呼吸に注意を戻します。
(4)身体全体で呼吸するようにする
次に、注意のフォーカスを広げて、「今の瞬間」の現実を幅広く捉えるようにしていきます。
最初は、身体全体で呼吸をするように、吸った息が手足の先まで流れ込んでいくように、吐く息が身体の隅々から流れ出ていくように感じながら、「ふくらみ、ふくらみ、縮み、縮み」と実況を続けていきます。
(5)身体の外にまで注意のフォーカスを広げていく
さらに、自分の周りの空間の隅々に気を配り、そこで気づくことのできる現実の全てを見守るようにしていきます。
自分を取り巻く部屋の空気の動き、温度、広さなどを感じ、さらに外側の空間にも(部屋の外の音などに対しても)気を配っていきます。
それと同時に「ふくらみ、ふくらみ、縮み、縮み」と実況は続けますが、そちらに向ける注意は弱くなり、何か雑念が出てきたことに気づいても、その辺りに漂わせておくようにして(「戻ります」とはせずに)、消えていくのを見届けます。
(6)瞑想を終了する
まぶたの裏に注意を向け、そっと目を開けていきます。
伸びをしたり、身体をさすったりして、普段の自分に戻ります。
マインドフルネスで過去と未来のストレスから解放する まとめ
マインドフルネスで今にフォーカスを当てることで、DLPFCの機能が回復し扁桃体の制御を可能にします。
避けることのできない多様なストレス社会であっても、これまでにご紹介したメソッドを取り入れることでストレスと向き合いながらも、自分らしく健やかな生活を営み続けることができるのではないでしょうか。
今回ご紹介した5つのストレス対策以外にも、科学的根拠に則った最新メソッドで優れた成果、実績が出ている事例が多くありますので、次の機会にご紹介させていただきたいと思います。
それでは今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
コメントを残す